ソリューション

正に最適解が得られたと言っても過言ではない.


「それ」に気付いたとき,これが正解だと直観で理解した.
S倉先生の言葉を思い出す.「ネックにぶら下がるようにする,ネックをつかまない」.全く正しい.彼の言葉を!言葉としてではなく!心で理解できた!
そのフォームであれば全ての指が自然に動く.今までの4年間はなんだったんだろう.またビブラートは1の指が苦手であったのだが,全ての指で均等にかけられるようになった.さらにネックをつかんでいるわけではないのでポジション移動も容易である.素晴らしい.


元々,問題点はわかっていた.
個々の音をそれなりに鳴らすことは出来ていたが,速いフレーズになると掠れたような音になる.小指がうまく動かないのだ.力を込めても不自然に動くこの小指を何度呪ったことか.弦を押さえるのに力は要らないらしい.確かにあまり強く抑えなくても音は出る.しかし力を込めなければ小指は動かない.
子供のころからやっていないから指はそんなに動かないだろう,と半ばあきらめてもいたのだが,それが問題ではないのだとわかった.もちろん子供のころからやっていればもっと滑らかに指が動くようになった可能性もあるが,変な癖が付いていた可能性もある.まあそれでもピアノは続けておくべきだった.


解の導出は驚くほど単純だった.
弦から小指を離した状態,弦を小指で押さえた状態.この2つの状態の遷移に,余計な動作が入らなければよい.手の構造上,最短距離とはいわないが,自然に動く範囲で最短の距離を移動させるフォーム,なおかつ力を込めなくてよいフォームを探せばよい.
そして見つかった.筋肉の使い方を間違っていたのだ.


「力を込めない」というのは少し誤解があるだろう.正確に言えば,「指に力を込めない」が正しい.指を動かすには指に力を込めればよい.その考えがそもそも間違いだった.
指を自然にすばやく動かすには,指の根元から動かすのではなく,指の第2関節から動かせばよい.小指の第2関節ならば,子供のころからヴァイオリンをやっていなくてもすばやく動く.
また,前述したが,力は指には込めず,どちらかと言うと手の甲に込めることになる.
動かす筋肉が間違っていたのだ.この部分筋肉は今まであまり使わなかったために少々負担が感じられたが,ヴァイオリンのためならこれから喜んで鍛えよう.まあヴァイオリン弾くだけだけど.