人間失格/太宰治

ただ安かったから買った。小畑健じゃないやつ。
人間以外の何者かが人間に絶望する話。
これが本当に太宰の人生なのだろうか?と疑問に思ったが、解説を読む限りおおよそはそのようだ。
手記は27歳で終わるが、太宰治はその後健康になり、凄い勢いで作品を書く。
そして39歳になる1週間前、本作品を残し玉川にて入水自殺。
人間失格のモチーフは27歳までに既に作られていたらしい。


特に共感はしなかった。
人間ぽくねーなとは思っていたが、俺は保守的だったからな。いろんなことが抑圧されていたから、動くか動かないかでいったら動かない。まあ戦前のあの状況で若いころにマルキシズムに出会ってたら違うかもしれないけど。
入水心中で相手のみが死に、やっと愛することができた妻が犯されて、酒と麻薬におぼれ強制的に精神病院に入れられてしまったものの気持ちはわからない。この凄惨な経験を元に何か遺して逝きたいというのは良くわかるが。
共感はせずとも、太宰治はこれを書き、死んだのだ。何を思って書いただろうか。というか何を思って死んだだろうか。もう書くものは無い、とでも思ったんじゃないだろうか。自身を語り尽くしたらもうやることなんてないだろう。

神に問う。信頼は罪なりや。
果して無垢の信頼心は罪の源泉なりや。
無垢の信頼心は罪なりや。

加害者はまあこの際、どうでもいい。自業自得な者もどうでもいい。
しかし被害者はどうすれば良い。それでも生きろと言うのか。生きろと励まさなければいけないのか。